芦屋国際特許事務所 ASHIYA INT'L PATENT AND TRADEMARK ATTORNEYS

米国での再審査請求

再審査請求は米国特許を無効にするための基本的手段です。特許侵害訴訟あるいは特許無効確認訴訟でも米国特許を無効にできますが、リスキーでコストがかさみます。
 
 再審査請求には当事者型と非当事者型の2種類があります。再審査とは文字通りに審査官による再度の審査で、First Office ActionとFinal Actionの2種類のOffice Action があり、特許権者はOffice Action に対しクレームの補正と反論ができます。補正ができる範囲は、クレームの拡張が禁止される他は、通常の審査と同様です。継続出願はなく、Final Actionには審判を請求でき、審決には連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)へアピールできます。

 再審査請求では、侵害訴訟と異なり特許の有効性の推定は働きません。例えばクレームが自明か否かは、通常の審査と同じ基準で審査官により判断されます。証人尋問、口頭審理、ディスカバリーなどの訴訟特有の手続はありません。しかし専門家証人の宣誓供述書が提出されると、審査官へのインパクトが有るようです。

 侵害訴訟が始まった後に再審査を請求すると、訴訟は中断するのでしょうか? 中断するかどうかはケースバイケースで、再審査請求を訴訟の開始後速やかに申し立てたかどうかが重要で、判断基準は裁判所により異なるようです。

 
 当事者型と非当事者型の相違をリストします。
 当事者型: 侵害訴訟への防御として行われることが多く、特許の有効/無効に関する主張は訴訟と同レベルになるようです。特許権者に対し、再審査の請求人がその都度反論できるので、信頼感があります。また再発行出願と手続が併合されることが無いので、再発行出願のために手続がいつまでも続くことはありません。しかし一般に多くの証拠が提出されるため、審査は遅れがちになります。コストはOfficial Feeを除いて10万ドル程度は必要なようです。

 非当事者型: 再審査を請求した後は、請求人は経過を観察するだけで主張の機会はありません。些細なことで無効になるはずのクレームが生き残ることがあるので、信頼感に欠けます。再発行出願と併合されると、手続は遅延します。コストはOfficial Feeを除いて1万ドル以上のようです。